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お腹がすくとグーッと鳴り、誰かに聞かれたかと恥ずかしく思うことがよくあります。お腹がすいてグーッと鳴るのは空腹期運動と呼ばれ、消化管ホルモンのモチリンで起こされます。脳が栄養摂取を必要と判断すると、上部消化管が強く収縮します。胃からはじまる強い収縮運動は、小腸から肛門側へと伝播します。これとは別に消化酵素を混ぜ合わせる運動は緩やかで、食後期運動と呼ばれています。消化管ホルモンは、食事の後で放出されるのに対して、モチリンは空腹時に十二指腸の胃に近い部分から放出されるが特徴で、胃から肛門の方に、腸全体をしごくように収縮します。 これは何のためでしょうか。消化が進んでも、腸の中にはさまざまなものが残っています。腸の内面の脱落粘膜、腸液、腸内細菌などを掃除して、次の消化に備えるためと考えられています。この働きは、他の消化管ホルモンと違い、食事の刺激により低下します。グーッと鳴った空腹感の後でも、ちょっと何かをつまむと空腹感が消えるのはこのためでしょう。
『“食育”は歯科医療を変える』 クインテッセンス出版株式会社 丸森 英史 より
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